のつぶやき |
2018年 09月 10日 (月) 18時 02分 ▼タイトル 2162−2 ▼本文 そんな会話を交わす2人。 まさに親友という言葉が相応しいその様子に、俺は何となくシャルロッテに視線を向ける。 シャルロッテにしてみれば、自分達の隊長が自分を放っておいてラルと楽しく話しているのだ。 もしかしたら、機嫌が悪くなっているのではないか。 そんな風に思いつつの視線だったが……幸いににも、シャルロッテは特に気にした様子はない。 「……何よ?」 「いや、何でもない。それより、数日はゲラートと会えなくなるんだから、もうちょっと別れを惜しんでいてもよかったんだぞ?」 「あのね、別にそこまで心配するような事じゃないんでしょ? まぁ、ジオン……いえ、ジオン公国でも治せない眼を治せるのは、凄いと思うけど」 ジオンと言い掛け、それでジオン公国と言い直したのは、ルナ・ジオンもジオンだからだろう。 いや、ジオンという国の正統性を考えると、ルナ・ジオンこそが真の意味でジオンの名を継ぐに相応しい国家となる。 だが、それはあくまでも事情を知ってる者であればの話だし、普通に考えればルナ・ジオンとジオン公国という風に、ジオンの名がつく国――正式には、まだルナ・ジオンは国として認められてはいないが――が2つあるというのは色々と面倒なのは間違いない。 そういう意味では、ジオン公国には早めに消えて貰いたいところだが……さて、どうだろうな。 ルナ・ジオンとしてはジオン公国がいるからこそ、連邦と交渉をするという選択肢が残ってはいる。 もっとも、ルナ・ジオンの……そしてシャドウミラーの力を見せつけた以上、連邦軍といえども迂闊に月を攻めるような真似は出来なくなっただろうが。 「ルナ・ジオンの軍部のトップの、アンリを知っているか?」 「え? ええ、当然でしょ。これからは私達の情感にもなるんだから」 「そうか。なら、そのアンリがジオン公国軍時代に率いていた首都防衛大隊については?」 「その辺はあんまり。こっちも色々と忙しかったし、話題になるような部隊でもなければ、その辺の情報は入ってこなかったのよ。特に私たちは特殊部隊ということで、普通の軍とはある程度切り離されていたし」 「そうか。とにかく、そのアンリが率いていた部隊は、いわゆる戦傷兵の部隊だ。手足の一本がなかったり、片眼が見えなくなっていたりといったようにな」 そこまで言えば、シャルロッテも俺が何を言いたいのか理解したのだろう。思わずと言った様子で息を呑む。 「ちょっと、もしかして……」 「正解」 シャルロッテにそう言ったのは、俺ではなくレモン。 ラルとゲラートの会話に飽きて、こっちにやって来たのだろう。 「元首都防衛大隊の人達は、全員が今では健康体に戻って普通にルナ・ジオンのMSパイロットとして働いてるわよ?」 そう言いながらもレモンが苦笑を浮かべているのは、レモンに治療して貰ったパイロット達の多くが、レモンに過剰なまでの感謝をしているからだろう。 正直、見ている方にしてみれば、宗教か何かか? と思ってしまう程の感謝の仕方だった。 ちなみに、俺自身は宗教というものが好きになれず、胡散臭いものを感じてはいるが、別にシャドウミラーで宗教は禁止されていない。 ……というか、エルフ達にしてみれば、混沌精霊の俺が神みたいなものらしいしな。 俺が宗教に対して思うところがあると知ってからは、あからさまに俺を拝んできたりといった真似がしなくなったが。 ともあれ、そんなエルフ達以外であっても、宗教は自由に信仰出来る。 もっとも、俺自身はそちらに興味も何もないんだが。 |