のつぶやき |
2018年 06月 04日 (月) 17時 57分 ▼タイトル 2064-3 ▼本文 『が!?』 だが、そこからも俺は動きを止めない。 普通の相手なら、胴体をゲイ・ボルグに貫かれた今の状況は、致命傷と言ってもいいだろう。 だが、俺の前にいるのはデスだ。 強力な回復能力を持っているのは、今までの戦いで既に理解している。 突きや薙ぎ払いを繰り返す連続攻撃を続け……胴体への一撃の衝撃から立ち直ったのか、デスは長剣でこちらに対処してくる。 だが、それでもゲイ・ボルグによって胴体を貫かれた一撃は大きなダメージを与えるには十分だったのか、剣捌きは間違いなく先程よりも落ちている。 剣捌きが鈍ってきたということは、俺の攻撃に対処するのも難しくなるという事であり……俺がゲイボルグで攻撃しながら、別の攻撃の準備を整えるには十分だった。 攻撃をしながら、身体の一部を白炎と変え、そこから次々に炎獣を生みだしていく。 鳥、狼、獅子、虎……それられの炎獣は、ゲイ・ボルグで攻撃し続けている間にも俺の周囲に集まっていき…… 「吹き飛べ!」 今までよりも一層強力な一撃をデスに向かって叩き込む。 かろうじて長剣でその一撃を受け止める事には成功したデスだったが、そこに込められた膂力に関しては、完全に予想外だったのあろう。 攻撃を受け止め……そのまま、吹き飛ぶ。 それでも闇の衣や何本もある足を使って空中でバランスを整えようとするが、そこに生み出された百匹近い炎獣が次々に襲いかかっていき、空中に白炎による巨大な爆発が生み出される事になる。 恐らく、この影時間に適性のある者であれば、どこにいても見えたのだろう、強力な爆発。 その爆発が消えた後で残っていたのは、身体の半分以上……いや、正確には7割程を失ったデスの姿だった。 本来なら、ここで追撃を行うべきなのだろう。 だが、この戦いは別に殺し合いという訳ではなく、あくまでもデスが俺の実力を測る為の戦いだ。 俺が、本当にニュクスを相手にして倒す事が出来るのかと、それを示す為の。 そして、現在空中から降りてきているデスには、見たところもう戦闘意欲はないように思える。つまり…… 「戦いはこれで終わり、か」 『ああ、そうなるね。……うん、この強さは本物だ。正直、このまま最後まで戦っても、僕の力では、とてもではないけど勝てる気がしないな』 そう告げるデスだったが、話している間にも急速に身体が再生していく。 それこそ、このまま戦っても面倒な事になりそうだと、俺が思うくうらいの再生速度で。 ともあれ、これで戦いが終わった事に安堵しながら……ふと、ゆかりや美鶴達の方を見ると、そこにはいつの間にかやって来たきたのだろう荒垣、真田、天田、有里、アイギス、コロマルの姿があった。 皆がそれなりに怪我をしているようには見えるが、それでも誰1人としていなくなる事がないままタルタロスの屋上に到着したのは、喜ぶべき事だ。 ……もっとも、到着した面々は混沌精霊としての俺の姿を見て唖然としていたが。 まぁ、それも特におかしな話ではないから、当然かもしれないが。 ともあれ、戦闘は終わったということで、俺はまだ残っていた炎獣を消し、身体をこの世界ではお馴染みの10代半ばのものに変える。 デスも望月の姿へと戻り、俺の隣に立つ。 そんな俺達の下へ、ゆかりと美鶴……それ以外の面々も近づいてきた。 『アクセル!』 |