のつぶやき |
2018年 06月 03日 (日) 17時 56分 ▼タイトル 2063-2 ▼本文 『っ!?』 咄嗟に回避しようとするデスだったが、俺がそんな隙を与える筈もない。 次の瞬間、放たれた槍は……デスの右腕を斬り裂く。 やるな。 本来なら、今の一撃でデスの身体を貫くつもりだった。 それが出来なかったのはデスが右腕で持っていた長剣だ。 ゲイ・ボルグの一撃を完全に回避出来ないと咄嗟に悟ったデスは、自分の受ける被害を少しでも避けようと、右手で持った長剣を盾代わりにした。 結果として、俺の一撃は長剣の刃によって軌道を逸らされる事になり、デスの右腕を斬り裂く程度に終わってしまったのだ。 『やるね』 右腕を斬り裂かれながらも、デスは跳躍……と言うべきか、ふわりとした動きで後方にに跳び、俺から距離を取る。 「やるねと言われてもな。この攻撃をまさかこうもあっさり回避されるというのは、俺にとっても予想外だったよ」 そういう俺の視線の先で、ゲイ・ボルグによって傷付けられた傷が見る間に治っていく。 傷から溢れているのは、それこそ血の類ではなく闇……いや、デスがシャドウである事を考えれば、影の液体? 気体? とにかくそんな感じの奴だ。 ……一応、ゲイ・ボルグには、そこまで強力ではなくても、回復阻害の効果があったりするんだがな。 デスという存在にとっては、この程度の傷は問題なく癒やす事が出来るらしい。 「厄介だな」 『君がそれを言うのかい? まぁ、いい。炎が君に効果がないのは分かった。なら……これは、どうかな? マハブフダイン』 その言葉と同時に、周囲が氷に満ちる。 まさに、極寒の地とでも呼ぶべき光景に一瞬で変わったその様子は、ペルソナ世界において最高の氷系の魔法……そう表現しても間違いはないだろう。だが…… 「生憎、俺はエヴァとの戦闘訓練で、氷系の魔法は嫌って程に使われてるんだよ! この程度の攻撃、今までに何回使われたと思っている!?」 俺の……正確には、シャドウミラーにおいて、生身の戦闘訓練の教官という立場にいる、エヴァ。 見かけは幼女だが、その実際は600年を生きた吸血鬼。 その魔法の技量は、それこそネギま世界でも屈指のものと言ってもいい。 ……まぁ、ニンニクとかが入った落とし穴に落とされるとか、そういう感じで妙に間の抜けたところもあったりするが……それはそれ、これはこれだろう。 ともあれ、俺は……そしてシャドウミラーの隊員はエヴァとの模擬戦を繰り返している。 そしてエヴァは、模擬戦であろうと手加減はしない。 いや、最低限の手加減はしているので、殺されるような事はないが……それでも、身体を凍らせられる、氷の中に詰め込まれるといった事はそう珍しい話ではない。 特に、その言葉遣いがエヴァの気に障るのか、アウルは結構な頻度で凍らせられていた。 つまり、シャドウミラーの隊員はエヴァに……そして氷の魔法に対する対応を自然と学ぶ事になる。 勿論、ネギま世界の魔法とペルソナ世界の魔法は大きく違う。 だからこそ全く同じように対応が出来る訳ではないが……それでも、同じような対処は可能だった筈だ。 「好きにさせると思うか!?」 |