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2016年 03月 02日 (水) 00時 48分
▼タイトル
台車の台車による台車の為の台車
▼本文
 
 台車――それは、神秘の物質。

 黄金比と呼ばれる究極の造型で構成された一枚の板を、まるでこの世の流転を表すような4つの車輪が支えるその様は、奇跡的なバランスの元に成り立つこの世界の基盤そのものであるかのように美しい。しかして、世界は人の力で動かすことが出来る……そんなメッセージを象徴するように、敢えて板には取っ手が装着されている。直角の板とは違って美しい曲線を描き、敢えて人工物だけの世界などあり得ないというメッセージが添えられているかのようだ。更には取っ手という覇権を握るに相応しい者が現れないとき、取っ手は板とともに新たな主を待つよう折りたたんでひと時の休息に移る。
 そして、台車とは運ぶもの。それは物質を、魂を、時間を、空間を、森羅万象をあるべき場所へと運び続けるためのノアの方舟そのもの。

 一説には台車はこの地球が誕生したと呼ばれる64億年より更に以前から造形物として存在する、宇宙そのものの原型だとする学説もあるが、真偽のほどは定かではない。また、台車は地球の生物や現在の地球人類の進化に深く関わっており、嘗て地上に栄えた恐竜たちが滅んだ理由は台車の禁忌に触れたことが間接的な原因であることがジュラ紀の地層の調査で示唆されている。

 また、台車の存在が神のモデルになったことは昨今一般常識として国際的に知られている。聖書等における神のお告げとは、台車の力に触れて宇宙真理の一部を得た存在がそのメッセージを「神のお告げ」と捉えたとするのが最有力な通説だ。また、台車の存在を最も強く残す宗教は仏教であり、「大乗仏教」や「小乗仏教」の「乗」というのが台車に乗るかどうかの議論であるという事実は宗教学者の間では余りにも有名な話である。

 近年では相対性理論で有名なアインシュタインの原理が台車からモチーフを得ているなど、台車の持つ可能性は今もなお人間に多大な恩恵を齎している。しかし、台車の恩恵を正しく理解しない存在から見ればこの台車の語る真理とは道具でしかなく、原子爆弾を初めとする大量破壊兵器を生み出す人類の蛮行を生み出してしまう結果になったことは誠に残念でならない。

 さて、先ほど少し触れたが台車の真理的な部分を人々に伝える際に重要視されるのが台車という形状が表す移動エネルギー、すなわち加速の力が重要な解釈ポイントになっている。加速とはつまり停止や停滞がない事を表し、加速こそが宇宙の始まりであるビッグバンと宇宙の終焉であるエントロピー終焉を端的に表す究極法則であり、この法則に触れた者は現在、過去、未来という字空間を超越した発想や思考を得ることが出来る。
 また、これは未だに研究中の分野だが、車輪が回るガラガラという不思議な振動が知的生命体の持つ固有アストラル波長と一致しているという仮説が存在する。もしもこの仮説が立証されることになれば、全ての人類が加速のエネルギーの正しい在り方を理解し、世界から無用な争いが消え去る日が来るであろう。

 そして忘れてはならないのが、加速のエネルギーとは宇宙の終焉をも突破する無限の可能性を秘めていることだ。残念なことにこの無限の可能性を正しく観測できる存在は、この世界のどこかに存在するオリジン台車と同位体の台車に乗った人間、すなわち理論上の世界にしか存在しない「台車男」のみである。
 そしてオリジン台車が人類の手に届かない宇宙の中心部に存在するという公算が高く、現在の人類の文化レベルでは同位体を作り出せる確率が0,0000000000000000000000500103%である以上、これを製造することが不可能に近いことは数値を見るに明らかだ。また、オリジン台車に迫る行為とはすなわち恐竜の冒した禁忌に匹敵する行為であることが古くから示唆されている。西暦1999年のノストラダムスの大予言も、当時のノストラダムスが「西暦1999年の技術力において初めてオリジン台車の同位体を製作しうる可能性が人類内部で誕生する」という仮説を加速エネルギーの中から受け取ったことを起点としていることからも、これがイカロスの翼以上の危険性を孕んでいることは明らかだろう。

 我々は恐らく永遠に答えには辿り着けないのだろう。
 しかし、辿り着けないのならばそれが台車の意志であり、この世界が正しくある事の証左なのだ。

 だが、もしも。

 もしもこの世界にオリジン台車の同位体に乗る「台車男」が現れたとしたならば――それもまた、台車という絶対真理が必要として生み出した存在なのかもしれない。

 人類史には何故か頻繁にこの「台車男」が救世主として登場する伝承が多く散見される。これは解読不能とされたイースター島の文献にも登場し、文献内で唯一台車男の部分のみが解読された事からこの文献は旧宇宙における知的生命体が残した台車と台車男に関する重大な謎を書き記したものであることは想像に難くない。

 なお、「台車男」の「男」とは日本語における男性の事ではなく、救世主を表す古代台車語の「オトゥーウェグ」を日本語に直した際に付けられた当て字として大和朝廷誕生以前から存在したものである。そのため実際には「台車男」には女性も含まれるとするのが一般的な見解である。
 
 「台車男」。それがどのような存在なのか、現状の人類では答えに辿り着くことが出来ない。

 この答えが明らかになるのは、人類がもっと台車による加速エネルギーの真理を理解してからの事となるだろう。


 〜 ダイシャール・D・スゲダイスキー著『運命の車輪』-688ページより抜粋 〜
 
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2016年 03月 02日 (水) 19時 58分
海戦型
▼タイトル
台車の台車による台車の為の台車
▼本文(冒頭20文字)
昨日何故か猛烈に絶不調で全く筆が進まなか...

2016年 03月 02日 (水) 17時 04分
八代明日華/Aska
▼タイトル
台車の台車による台車の為の台車
▼本文(冒頭20文字)
相変わらず最高ですね……

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