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2015年 11月 16日 (月) 22時 51分
▼タイトル
突発的アイディア
▼本文
『テセウスの剛腕』

 砂海と呼ばれる一面の熱砂の中を歩く二つの影があった。機械の両腕を備えた髭面の中年と、華奢で矮躯の一人の少女。二人は並び立ち、進軍でもするように砂海を歩く。
 彼らが目指すのは点在する街々。求めるのは食料と義腕の材料。彼らはさすらい歩き、ただそれだけのために旅をする。
 襲い来るのは無法の土地を跋扈する化外たち。全身を機械に置き換えた男。強靭な生身に脳髄を移し替えた女。そもそも人から作られた少年。そして、永遠の命を謳い上げる老人。
 彼らは本当に彼らなのか。彼らではない彼らは果たしてなんなのか。彼らの『彼ら』は、どこで同一性を見出すのか。
 永遠を追い求める老人は、義腕の中年に問いかける。
『果たして君はこれを、本当に彼女と言えるのかな?』
 これは、己の同一性を探る物語。
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