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2015年 10月 20日 (火) 17時 22分
▼タイトル
昨日のLINE内部の話
▼本文
昨日の夕方頃、我らがLINEグループにて珍しく物書きっぽい話題が上がりました(爆)
題は『戦闘描写』。物書きにとっての関門のようなモノだと個人的には思っています。
物書きの方はご存知の通り、戦闘描写は非常に難しい場面ですね。
そんな訳で戦闘描写技術の向上を図るため、それぞれ戦闘描写を書きあって読み合い、投票制で自分がいいと思った方の戦闘描写に投票する……という企画を行いました。まだ未投稿の方もいる為結果は出ていませんが、トップの方にはアドバイスを頂く……という感じになっています。
が、どうせなら暁の方にもアドバイスを貰いたいと思い、取り敢えず自分が書いたモノをここに載せたいと思います。

自分の中でのお題は「異能戦闘」。よって東方乖離譚より構想段階だったヒメノとレミリアの戦闘をうp
かなり先の戦闘になる為載せますが、その戦闘パートが近づいてくれば消します。
あとレミリアとヒメノの関係性については流石にネタバレが過ぎる為、省いております。仲の良い友人とでも捉えておいて下さい。ヒメノの能力は能力共有。相手の自分に対する信頼が高ければ高いほど使用権限が高まる能力です。劇中では主に博麗霊夢の能力を使用。
それではどうぞ!









VS夜の女王








――刻は満ちたり。

頭上に浮かぶは紅き月。妖しい光を受けて輝く時計塔の頂上には、小さな人影が見える。

レミリア・スカーレット

夜の女王とも言える彼女にとって、この風景は理想的な状況だ。
満月の夜は、吸血鬼の力が最も高まる時。その力は幻想郷でも屈指のモノだろう。
その女王と――

ヒメノは対峙しているのだ。

「ようやく、覚悟が決まったようね」

「私は、レミリアとは戦いたく無い」

「ええ、そうね。私も貴女とは戦いたくないわ」

「ならっ!……っ!?」

咄嗟に、命の危機を感じた。本能のままに右に転がる。
先程まで立っていた場所に、大穴が空いていた。

「レミリア……っ!」

「……えぇ、戦いたくないわ。戦いたくないわよ。……でもね、私の能力は生憎絶対なのよ……!」

レミリアの小さな肩は、小刻みに震えていた。それが憤怒なのか、悲哀なのかは、ヒメノには分からなかった。

「――こんなにも月が紅いから」

その言葉を、ヒメノは知っていた。

故に、応える。レミリアは既に覚悟を決めていた。ならば、私一人では太刀打ち出来ない。だからこそ、彼女の力を借りる。なればこそ、応えねばならない。

「――こんなに月も紅いのに」

彼の、最強の巫女の様に。

「楽しい夜になりそうね」
「永い夜になりそうね」

戦の火蓋は、切って落とされた。


――――――――――――――



「グルァッ!!」

「あああぁぁぁっ!」

力の本流が、紅く染まった地上を照らす。
右上。左下。否、その前に上から来る。なれば躱すのは前だ。全力で前へと踏み込む。
当然前には圧倒的物量が迫る。躱せない。ならば防ぐ。最低限の霊力を振り絞り、結界を張る。防いだ。結界も壊れる。前へ。

上空を仰ぎ見る。其処には女王の姿。
その背に背負う紅い月と合わさって、完璧に絵になっているその光景を――

「――霊符」

完膚なきまでに打ち砕く!

「『夢想封印』っ!」

無数の光が天を照らす。放たれた恒星は夜空を貫き、夜の女王へと力を集わす。

「ハッ!巫女の真似事か、だがオリジナルには届かないと見た!打ち砕く!」

王の右手に集う力の本流。その紅い光は槍を模す。
世界の闇を一点に凝縮したかの如き、圧倒的な威圧感。

「――神槍」

無数の光が、王を討たんと駆け上がる。――が、時既に遅し。

「『スピア・ザ・グングニル』ッ!」

本能的に、死を予測した。
不可避。そして必殺。流しは不可能。防御も意味は無い。
夜の女王の本気の一撃を、半神人は防げない。
ならば、力を借りる。

「――神霊『夢想封印・瞬』」

ヒメノの姿が霞む。
白銀の残像を、紅い槍が貫いた。
余波は無い。爆発もない。双方とも、途方も無いエネルギーの本流が削り取ってしまったのだ。
だが、その姿は捉えられない。

「うぐぁっ!」

強大な熱を、背に感じた。痛みが広がるが、傷口は直ぐに塞がれる。吸血鬼の即時治癒能力だ。全盛期である吸血鬼の王は、致命傷すら数秒足らずで塞いでしまう。
その細腕は容易く岩盤を割り、その翼は音速にも達する。
これが吸血鬼という種族に課せられた力でもあり、呪いだ。この力と引き換えに、吸血鬼は太陽を嫌い、雨より退く。
紅の女王は、その残像すら吹き飛ばした。
天を裂く鋭爪が、同じく音速である半神の腕を浅く削る。
同時に酷く無慈悲な力の本流が、レミリアの頭部を吹き飛ばす。コンマ一秒。その隙が命取りなのだ。

「ぐっ……!」

頭部は直ぐに再生する。が、休む間も無く虹色の弾幕は吸血鬼を照らし出した。
圧倒的な弾幕だ。避ける事など出来ないのではないかと、諦めてしまいたくなる程完璧な弾幕。
だが、吸血鬼は不屈である。

「甘いッ!」

ほんの数十cmの隙間に、その体を滑り込ませる。
紅い幻影は小さな隙間を塗って力の中心へと向かい――

「神技『八方鬼縛陣』」

新たな霊力の本流が、その身を焼いた。

「がぁァぁっ!?あぁぁ、うぁぁあぁあッ!!」

けれど、倒れない。
治癒と熱が体の中で煮えくり返り、吐き気と眩暈は消える事を知らない。
だが意識は保った。

「な……っ!」

「……耐え……たぞ……ッ!今度は――こちらの……番だ、半神……ッ!」

これ以上戦闘を続ければ、如何に吸血鬼の体といえど限界は来るだろう。
なれば先に勝敗を決する。この攻撃で倒せねば、その時自らは散るだろう。

正真正銘、 最後の言葉ラストワード。自らに許された、唯一の足掻き。

「――『フィットフルナイトメア』ァッ!」

――夜の女王は、その身に秘めた全ての力を開放した。

「っ!」

速度は神速。数は圧倒。躱す隙間は一部も無い。『想いの結界』も使えない。アレの防衛範囲では、これ程の範囲の弾幕は防ぎ切れない。
対処出来るとすれば、たった一つ。
しかし、これはヒメノが最も恐れた力でもある。恐怖に飲まれ、自我を失えば、その力は直ぐにでもヒメノの心を『空』へと引きずり込むだろう。
『幻想郷最強の巫女』ですら手に余るこの力を、果たして使いこなせるか。結論を言えば不可能である。これは明らかに人の手に余る力だ。
けれど。
友を止めるには、これしか残されていないのだ。

……その 一言ラストワードを、口にする。

「――『夢想天生』」

吸血鬼の王が放つ滅びの弾幕は、ヒメノの世界を紅で染め上げた。











「――はぁっ、はぁっ、ぐ、く……はぁっ……!」

苦しい。夜の女王が持つ莫大な妖力は全て使い果たした。後はない。これで倒せて居なければ、王の敗北は確定する。
さて――如何に。

「――駄目、か」

ヒメノは無傷であった。
正確には先程の弾幕の前に幾度か傷を負わせていた故、完全な無傷ではないが、最後の言葉(ラストワード)は彼女に届かなかった。

ヒメノの目は、閉じていた。
宙に浮かぶヒメノは、あらゆる事象から隔離されていたのだ。

「――そうか。そうだったな」

『現代博麗の巫女』である博麗霊夢の究極奥義。『夢想天生』

あらゆる事象から浮き、ありとあらゆる法則は彼女を縛れず、全ての常識は彼女のみを弾き出す。
外界からのあらゆる干渉を拒み、全ての力は彼女には届かない。

――ならば、このまま死ぬのも悪くは無いだろう。

最初で足後の、唯一の人間の親友。
その手で命を絶たれるならば、それもまた良い。
心残りと言えばフランの事か。彼女を残して逝くのは心苦しいが、ヒメノならば彼女を導いてくれる筈だ。

「――殺すといい」

死ぬにも惜しくない程、この生は十分過ぎるモノであった。

「――殺せないよ」

「……?」

気付けば、ヒメノは既にその目を開いていた。声は、彼女に届いていた。
その目から滴り落ちるのは、一筋の涙であった。
最後の言葉ラストワードは、彼女の心に届いたのだ。

「駄目だよ、友達は、殺せない」

「殺せ。お前に殺されるなら、それもまた悪くは無い」

「嫌。私は絶対にレミリアを死なせない」

「そうか――」

レミリアは――吸血鬼の王は、その紅い瞳をギラリと輝かせた。

「ならば、死ね」

なけなしの力を、拳に込める。
咄嗟に反応するが、完全には避けきれない。左肩に直撃し、その骨を粉砕する。

「うぁっ!?」

余波でヒメノの体は大きく吹き飛ぶ。力を失っても尚、吸血鬼の力は強大だった。

「――お前らしいが、この後に及んで躊躇うとはな。
戦場では、悩んだ者から死んでいく。だからお前は、此処で死ぬ」

体に染み付いた妖力の絞りカスを、形にする。
弱々しい光であったが、目の前に蹲る女を屠るには十分だ。

トスッ

ふと、軽い音が響いた。
自らの腹を見る。
一本の刀が、其処に突き立っていた。
その刀の出処は、蹲ったヒメノの背であった。ヒメノの胴体を貫いた刀は、そのままレミリアの心臓を断つ。

その刀の銘は、『妖魔殺し』。
吸血鬼の再生能力ごと肉を断つ。
人の肉を断たず、妖の肉体のみを断つ。
神代に伝わる、霊刀である。

「――あぁ、そうか」

王は、自らの敗北を認めた。

「――迷っていたのは、私だったか」

夜の女王は、紅き満月の元で、意識を手放した。













さて、如何でしたでしょうか。出来ればアドバイスなどよろしくお願いします
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