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『冥王来訪』への感想

投稿者:[非会員]の感想
[2024年 09月 16日 11時 24分]

▼一言
>カティア

僕は《るろうに剣心》をしばらく見でいると貴族の風情が大衆政治の風情よりも優れていると感じていました。


▼返信
投稿者: 雄渾
[2024年 09月 16日 (日) 16時 40分 50秒]

>僕は《るろうに剣心》をしばらく見でいると貴族の風情が大衆政治の風情よりも優れていると感じていました。

 日本の場合、明治の末ごろまで江戸時代に武士としての教育を受けた人間が大勢いましたからね。
そういう人たちに育てられた人間は、武士の遺風を受け継いで概して愛国心が強く、質素な生活を好みました。
 もともと貴族というのは洋の東西を問わず、義務の代わりに特権を得ているのですから、なにか問題があればそれを理由に生命を奪われる危険性はあるのです。

 日本の武士は、江戸時代以降になると庶民に対して、ある程度気を配らないと生きていけない様になりました。
戦国時代のように他家の領土に攻め入って食料や金品を取ることが難しくなったのもありましょうが、自分の領地や藩の領民を過酷に扱って、反乱や一揆をされるのを恐れた面があります。
 一揆の場合は切腹だけでは済まずに改易、反乱の場合は、改易の後に打首となります。
武士はその特権として、死罪になるような犯罪を犯した場合は切腹が許されていました。
切腹の場合は、遺体はそのまま埋葬されます。
 打首は、首を斬った後、首から下を山野に捨て、首を三日間さらしものにした後、初めて葬儀が許されました。
基本的に武士の場合は戦場で負けた場合以外は、打首にされず、打首獄門は武士にとって最大の侮辱の一つでした。
 明治維新の初期指導者のひとり大久保利通は、各地の武士反乱の際、関係者を切腹ではなく、打首獄門にしています。
明治初年の刑法では切腹は認められた権利の一つだったので、かえって士族層の反発を招きました。
(後に近代刑法の導入で、斬刑や切腹は廃止になり、絞首刑になります)

 洋の東西を問わず、文化の伝達者は貴族層か、貴族に準ずる地主や資本家などのブルジョアジー層です。
日本の庶民文化も、元を辿れは室町時代に出来た武士の行儀作法が長い時間をかけて庶民に伝播したものです。
 ヨーロッパの文化も近現代になってもそうですが、やはり貴族層とブルジョアジーの関与なしには説明できないでしょう。
1968年以降の欧州(特に西欧)の堕落は、第二次大戦によってそういう層が影響力を失い、彼らが年齢とともに第一線から退いたのが大きいと思います。
第二次大戦がなく、貴族層がしっかり残っていて、東欧が共産化しなければ、そういう文化は残ったでしょう。
 ただ社会保障などの導入は遅れて、固定化した身分の物からの不満が続出したのかもしれません

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