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『冥王来訪』への感想

投稿者:[非会員]の感想
[2023年 05月 15日 21時 14分]

▼一言
雄渾さんは1990年で統一以降のドイツにおけるネオナイチやオスタルギーをとう思いますが?


▼返信
投稿者: 雄渾
[2023年 05月 16日 (日) 10時 36分 14秒]

>オスタルギー
 これはまた難しい問題ですね。
 帝政時代以来一つの国として歩んできた近代ドイツは、不幸にも米ソ対立で分割されます。
我が国も沖縄だけ20年間占領統治を延長されましたが、沖縄県民の祖国復帰運動と日本政府の粘り強い交渉によって本土復帰を成しえました。
 20年の占領統治と復帰後の支援によっても、未だ本土と沖縄の複雑な感情は解消していません。
50年たちましたが、沖縄には観光産業を除いてめぼしい産業がなく、政府も経済界も、沖縄の経済振興を重点に置いていますが今一つとなっています。
 左派や共産党が盛んにいう基地問題は既に基地ができて70年近くたつので、住民も受け入れており、県民約2万人が基地関係者として働いています。
 本土復帰に際して、日本政府は様々な特例措置を講じており、今も税制上の優遇措置をしていますが、左派、右派共に現状の政策には不満を持っているのが現実です。


 翻って東ドイツは、1972年の東西ドイツ基本条約で事実上独立国家として認められて以来、平和統一後も同じドイツ人として尊重されるとばかり思っていました。
 西ドイツ政府は、統一が決まると政府関係者を一斉に解雇し、軍ばかりか警察関係者まで選別して追放しました。
(日本の沖縄復帰の際は、米軍統治下に作られた琉球警察は沖縄県警に、琉球海上保安庁は、第11管区海上保安本部へ改組して、全職員を改めて採用しています)
西ドイツの関係者は十分な告知もなしに、東ドイツ時代の遺物を徹底的に排除して、かなり不興を買っているのもかつての時代への哀愁を強める原因でしょう。
(本土復帰に際して、沖縄も右側通行から左側通行に戻しましたが、それも6年の時間をかけています)

 ネオナチのがはやるのは今回の話で書いた西ドイツの労働事情に関係するのですが、1960年代後半から移民を大量に入れるようになるのです。
次回の話に出てくるヴィリー・ブラントなども移民労働者の問題に絡んでくるのですが、移民労働者のせいで、東ドイツの若者に職がなくなり、そういう非行に走ってしまう点もあります。
 あとネオナチ運動をやっているのは、今はロシア系ドイツ人も割合として多いかな。
200万人近くがソ連崩壊でドイツ国内に入りましたから……。

今回の話はオスタルギーやネオナチの話を単純化した一例にすぎません。
もっと根深い理由があるのですが、話すとあまりにも助長になるので、述べません。
後日、小説の中でそれとなく語りましょう。 



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