『冥王来訪』への感想
投稿者:[非会員]の感想
[2022年 05月 15日 11時 19分]
▼一言
ベアトリクスが古き良き妻として暴れてますね。現実世界は個人主義者が多いから伝統も良識も失われて悲惨な事に成ってますが。特に東側陣営は酷いと勝手に思ってます、ロシアは略奪が好きな所が有りますので。
投稿者:
雄渾
[2022年 05月 15日 (日) 12時 55分 41秒]
ご感想有難う御座います
>現実世界は個人主義者が多い
今回は東西ドイツに限ってお話します
西ドイツに在っては1960年代まで国民の6割以上が第三帝国時代を懐かしく思っており、父権的な社会でした
ですが、次第に世代交代が進み、米国文化の流入で個人主義がかなり強くなります
決定的なのは1968年の世界的な学生運動です
これでドイツ国内の世論が一変します
第三帝国への哀愁が失われ、軍隊への徴兵拒否が増加し始めます
他方、東ドイツでは経済復興が進むのですが、前回話した通り、1960年代に至っても戦前の水準には戻りませんでした
何かあると住民は戦前のほうが良かったと陳情書を送りつけました
しかし、一向に改善される気配が無いので次第に行政への関心が失われていきます
1968年のホーネッカーの憲法改正で、より加速します
ウルブリヒト時代と一変し、徴兵制実施や軍事教練、中小事業者への圧迫が強まると、住民感情はさらに悪化します
党員であっても、政治的関心を示さず、腐敗が進行するようになります
(もっとも物資の隠匿や横流しは東独建国以来、ありました)
西ドイツと違い、若者たちは政治的情熱を失って、個人的なつながりを重視するよう、生活の主軸を移し始めます
>ロシアは略奪が好きな所が有ります
これは、ロシア軍の補給線が長すぎるのと、貧弱なのが原因です
1980年代にソ連国内で欧州侵攻計画を練った時、補給線の関係からウクライナで2万人が飢餓状態に陥るであろうという試算が出ました
1972年から20年間、ソ連では米国より家畜飼料の名目で年500万トン以上の小麦、トウモロコシの輸入を実施していました
ソ連国内の畜産業拡大の為と言われてはいます
ですが、ロシアは緯度も高く地質も悪いので農業に不向きな地域が多いのです
ソ連邦解体で、農水産業の盛んな小ロシア、温暖なカフカスが独立しました
ソ連では産業ごとに各自治共和国に振り分けていたため、ロシア国内ではそれ程力を入れて来ませんでした
(バルト三国は電子部品、ウクライナは軍事、航空宇宙産業、ベラルーシは農業、畜産業)
其の事が、裏目に出て、今の状態になっています
またソ連以来の悪弊なのですが、ロシアの官公庁は基本的に薄給です
その為、賄賂社会で、検事や判事なども積んだ賂(まいない)の額で罪の軽重が変化します
まさに地獄の沙汰も金次第という言葉通りの社会なのです
軍も同様で、生活できないので副業に走ります
ソ連時代の頃から軍内部では副業が大々的に認められていました
空軍の将軍が、個人的にヘリや輸送機を使い、闇の輸送業を行ったり、工兵部隊が建設現場で働いたりして、生活の足しにしていました
其の事をソ連指導部は、自活しているから良いと黙認し続けました
ソ連崩壊後は、社会主義国であった独特のモラルが失われて、更に腐敗が横行しました
ロシア軍の現状に関しては、ソ連時代の元帥や将官たちから散々な非難がなされましたが、より悪化する一方です
直近10年においては、政治への軍の関与も弱められたため、愛国心で薄給を耐え忍んできた軍人たちは軍から離脱するようになりました
今回のウクライナ侵攻のロシア軍の異常なまでの混乱ぶりは、腐敗を黙認してきた政権側の失策と言わざるを得ません
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