『ソードアート・オンライン〜剣と槍のファンタジア〜』への感想
投稿者:Cor Leonis
[2018年 09月 04日 06時 57分]
▼良い点
リアさんとツカサ君のキャラクター。ヒーローが主人公でヒロインがその相手役、という構図をひっくり返したあまり見かけない形式ながら、それぞれが作中での役割としっかりと果たしていて違和感がありません。
▼悪い点
本文中での改行が多すぎると感じました。酷いところでは画面に一文字も映し出されていないような箇所もあります。ひょっとしたらこれは文中で「間」を表現したいと考えていらっしゃるのかもしれませんが、それは文章によって伝えるべきことです。無駄にスクロールさせられるのは読み手が文章に没入する際邪魔にしかなりませんし、せっかくの文がチープに見えてしまうので、場面転換など最低限の場面で、必要な一定数だけ使う方がいいと思います。
また、12話で跳躍が筋力依存という文がありましたが、原作8巻、124ページの8行目を見ると、敏捷依存であると推測できるような記述があります。尤も、暁のSAO二次界隈では「跳躍は筋力依存である」という風潮が広まっているので、あまり不審がられることはないかもしれませんが。
最後にもう一つだけ、取るに足らないことではありますが、思わず笑ってしまったので。18話で軍に所属する兵士の数が一万を超えているとありましたが、そもそもSAOの初回ロットが一万本ですので矛盾しています。軍の皆さんは影分身の術でも習得したのでしょうか(笑)
▼一言
初めまして。台風の影響で一日暇になったので、いい機会かと思いキーボードを執らせていただきました。Cor Leonisと申します。
この作品自体は以前から少しずつ読ませていただいていたのですが、処女作とは思えない、とても綿密に設定を練られた作品だなと感じました。良い点でも書きましたが、リアさんとツカサ君のペアが特にいいですね。リアさんは当初こそ完璧超人さが鼻につくきらいもありましたが、話を追っていくと精神的な弱さにも直面していて、その辺は緩和されたかなと思います。私は弱さに直面した時の葛藤こそが人間らしさだと考えるような捻くれ者なので、今後同じような状況になった時、彼女がどのように悩み、もがき、乗り越えていくのか期待したいですね。こんなことを言うとツカサ君に殴られてしまうでしょうか(笑)
さて、以降は私がこの作品を読んでいて、「悪い点」というほどでもないけれど、惜しいな、気になるな、と思った箇所についてお伝えしたいと思います。
一点目。物語全編を通して、モブキャラクター達の考えが画一的、かつリアさんとツカサ君に対して肯定的すぎるな、と感じました。これはリアさん達のキャラクターと言うよりも、文章の構成、描き方に問題があるように思えます。
それが如実なのは7話でしょうか。確かに人型のNPCがモンスターに殺される様は大部分の人間にとって見ていて気持ちのいいものではないでしょうが、デスゲームと化したアインクラッドで、リポップするNPCの命と自らの命を天秤にかけられるプレイヤーが果たして何人いるでしょうか。その上で多数の意見を翻させたリアさんのカリスマすげぇ! と言うこともできるかもしれませんが……。
またこの時、血盟騎士団副団長という立場を利用し強引に作戦を決めようとしたアスナに対し、リアさんは自身の人気を盾に脅迫します。ぶっちゃけやってることは同じですね。アスナは攻略に参加するプレイヤーたちの安全を、リアさんは自分の信念を重視して、お互い自分の強みを使って脅しあっているわけです。しかし、物語はリアさんを正義、アスナを悪と断定したような語り口調で進んでいきます。後にリアさんにも考えあっての行動だったということが明かされますが、今回の一件で顔に泥を塗られ、求心力も低下したであろうアスナの立場に対するフォローは全く描かれていません。この辺はリアさんに反対するプレイヤーを出すとか、ツカサ君がアスナのフォローに回るとか、地の分で「リアもアスナの主張に一理あると思ってるけど、今はアスナが潰れそうだから敢えて突っつくよ」みたいなフォローを入れる(これは直後のリアさんの心理描写を読む限り難しいでしょうか)等の対策を講じれば改善されるかなと思います。
二点目。描写に関してですが、この作品は全体を通じて簡潔で、分かりやすい文章で書かれているという印象を受けました。そのため非常にテンポが良く、登場人物の動きが楽に入ってきます。私に足りない部分なので、とても羨ましいとさえ思ってしまいます。
しかし、それが災いしてテンポが一定な、淡白な文章になりかけている部分が散見されました。息遣いや視線、瞬きや表情筋の動き、言葉にならない口の動きや仕草など、常用すると文章を冗長にしてしまい物語がダレる原因になるものですが、重要な場面に限って使えば登場人物の微妙な心情を表すことも可能になります。ここぞのシーンでは思い切ってスローダウンし、字の文に文字数を割いてみると、魅力的なキャラクター達が更に生き生きと躍動するのではないかと思います。ただ、この描写とテンポの兼ね合いは作者ごとに好みが分かれるところですので、白泉さんの考えに合わないようでしたら無視してくださって構いません。
どうにも上から目線の書き方になってしまい、大変申し訳ございません。以上の点は「ここを直せ!」というものではなく、あくまで一つの意見として書かせていただきました。多分に偉そうな口を叩きましたが、私が書き始めた頃よりもずっとレベルの高い文章で、私としても過去の自分と比較して自分の未熟さを恥じ入るばかりです。
この感想が、今後更に成長されるであろう白泉さんの創作活動において、少しでも有益なものとなれば幸いです。月並みではありますが、読者の末端として応援しております。頑張ってください。
投稿者:
白泉
[2018年 09月 04日 (日) 09時 40分 03秒]
Cor Leonis先生、感想を書いていただきありがとうございます!それよりも、いつも読ませていただいている大先生にまさか感想を書いていただけるとは…!と少々テンションが上がっています!
改善点を詳しくご指摘くださって、本当にありがとうございます!この作品は僕のネット投稿の処女作なので、ご指摘を受けるというのは、僕にとってとても嬉しいことです!これからもよろしくお願いします!
良い点について。
お褒めのお言葉、ありがとうございます!ここは僕のこだわりの点ですので、そういっていただけると嬉しい限りです!
悪い点について。
改行の件ですが、なんとなく場面変更の時にあまり記号は使いたくなくて、ここはガラッと変わったんだぞ!ということがわかるように…と思ってやっていたのですが、逆効果だったんですね!すぐに編集させていただきます。
跳躍のことについてですが、最近はほかの先生方の作品を読むことが多いので、跳躍=筋力値みたいな感じになっていましたが、8巻に書いてあったんですね。僕の原作読み込み不足です…。しかし、ここの設定は後々と関連していくので、変えない方針で行こうと思います。申し訳ありません。
軍の人数ですが、お恥ずかしい限りです…!その時は急いで書いていたので、頭の仲がごちゃごちゃになっていたのかもしれませんw修正しておきます。
リアについては、そのように言っていただけて良かったです!以前、連夜先生からのご指摘もあり、なるべくそういう描写を入れるようにして来ました。そして、これからもリアにはいろいろな試練があり、そして過去が明かされます。楽しみにしてくださると嬉しいです!
一点目について
実はこの話、僕の中でもうまく行ってないな、という感じが残った回でした。その違和感が何かよくわからなかったんですが…ご指摘を受けて、なるほど、と合点がつきました。アニメを見ると、キリトが不満を持っていたので、ほかのプレイヤーもキリトと同意見なのにアスナがごり押しした…なんていう僕の勝手な妄想でした。
ほかの点についてですが、この話の最後でも、リアの考えがあってこういうことをした、ということが明かされましたが、実はまだ根本的な理由があります。ここは少々伏線じみた場所ですので今後にご期待ください。ただ、先ほども言いましたが、僕もここは納得ができていないので、また編集させていただきます!
僕自身、Cor Leonis先生などの大先生方の小説に比べ、自分の小説は何と言いますか、へらべったいなぁなんて思っていました。その理由がここにあったんですね!自分ではなかなか理由が発見できにくいところですので、おっしゃっていただけて良かったです!この点もまた改善していきたいと思います。
今回は本当にありがとうございました!新米の僕からしてみれば、目からうろこのようなお話ばかりで、参考になるものばかりでした。こうして思ったことを文章にしていただいて、そしてたくさんご指摘していただいて、感謝感激です!
僕の作品は本当に伏線が多いため、あまりまだ明かされていない今だけ読むと、あれっ?と思うことが多くて、ただでさえ読みにくいのに、さらに読みにくくなっているとは思いますが、これからもどうぞよろしくお願いします!
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