『銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)』への感想
投稿者:tukiyomi
[2015年 09月 26日 00時 17分]
▼一言
更新お疲れ様です。
原作通りイゼルローン陥落。
これ一番可哀想なの、ヤンの前に似たような作戦やって失敗した指揮官ですよねえ。
発想は悪くないのですが、構想力やそれを実現するための能力がヤンよりも低かったと見られる訳で、御愁傷様としか。
まあ・・・ヤンの奇策ではなく実務面の部分をイゼルローン攻略戦から学べている辺りエリヤも相当なものですが。普通どうしても奇策に眼をむけちゃいますしねえ。
シトレ派の巻き返しにより、軍内はシトレ派の天下に。
しかしまあ財政問題があるのとイゼルローン攻略があるとはいえ、最終的には8個艦隊にまで減らすとはドラスティックというかなんというか。
この手の少数だが機動力のある軍隊って、金のない国家が必ずと言っていいほどやる(練度が高い場合は特に)代物なんですが、広範囲で同時多発的に事が起きた場合に早期の火消しに失敗する危険性があるのをどこまでシトレは考えているのか。
もっともこれだけポストを減らしたことによって、シトレは完全に軍ポストを自派閥で独占する気満々なのでしょうけど、これもう完全に他派閥からの憎悪を一身に浴びるだけかと。現在のシトレ派の武勲たてた提督達は皆毒舌家だということは、他の提督達の感情的な反発を受けている可能性が高い訳で。
シトレ派が躓いた瞬間、苛烈なまでの報復が起きるでしょうねえ。
あと、何気にビュコックの爺さん退役しちゃったのか。
帝国はもう四分五裂。
何気に中立派のメルカッツ上級大将やリンドラー上級大将がキャスティングボードを握っているという状況。「皇帝に対する忠誠」「税金も皇帝に収める」をすることで、ブラウンシュバイク公爵とは一線を隔していますが、同時に現政府に組していないとか、両陣営からも「あいつら・・・」と、恨みがましい視線で見られていること確実ですし。
しかも原作準拠で考えた場合、メルカッツは政治的策謀などしない軍人であることから(ただし現実をきちんと見据えている軍人でもある)、これ本心から中立という立場をとっているものであって、本気でタチが悪いというかなんというか。
エリヤのメディアリテラシーは、単純ですけど大事なこと。
相手が何を望んでいるのか理解していないと、交渉時に妥協点を探ることすら不可能になってしまいますし。
自分が属していない党派に対して正しいイメージを抱くのは本当に難しいんですよねえ。原作読むと、ヤンやアッテンボローは、相手を色眼鏡で見てしまう事が多々ありましたし。
エリヤの指揮能力ですけど、こればっかはもう向き不向きがありますからねえ。
ただ、前verでもそうなんですけど、指揮官が絶対にここではひいてはいけないという時に、踏みとどまるだけでなく先頭をきって闘うエリヤのスタイルって、上の将からすれば、一番苦しい時に一番頼りになる将官でもあるのですが。
どんな名将だって、一度崩れてしまえば立て直すのに苦労しますし、その崩壊を何が何でも押し止めようとするエリヤって、原作ポジだとミュラーなんですよねえ。
投稿者:
甘蜜柑
[2015年 10月 04日 (日) 16時 02分 59秒]
感想ありがとうございます。
軍人だったらエリヤでなくとも実務面に目を向けると思います。こういった分析はやらない方が異常なので。
原作でシトレ元帥やヤンが重用したメンツを見るに、清廉な毒舌家揃いです。そういう方向性の派閥なんじゃないでしょうか。交渉は苦手そうです。
中立派諸将には良識派もいれば保身もいるでしょうね。内戦に参加したくないという以外の共通項はありません。そういったまとまりの無さがイゼルローンではマイナスにはたらきました。
エリヤは魂で戦うタイプなんで、頭で戦うには向いてないんです。生まれつきのセンスがありませんし。
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