『銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)』への感想
投稿者:tukiyomi
[2014年 06月 27日 01時 00分]
▼悪い点
ラインハルトに対する一般将兵の心酔度が違和感あるなあ。
リップシュタット戦役時の同盟からの帰還兵だったら、この反応も分からなくはないですけど、ラインハルトが独立して艦隊を指揮できたのはアスターテから。
少なくともここまで兵士たちを熱狂的にさせるだけの信頼感を築けているかというとまだ早いんじゃないかなあと。
リップシュタット以降で改革の実績が出てきて以降だったら、こうした状況も全く違和感がでないんですけど。
▼一言
更新お疲れ様です。
アムリッツァ会戦ほぼ終結。
ある意味原作以上に同盟にとってはきつい敗北になったかと。
今回の一戦で、同盟は第7、第8、第9、第10、第12の5個艦隊を壊滅してしまうという燦々たる敗北を喫しました。
原作と比べると、まだ第3艦隊が生き残っているのと、第7以降の艦隊も、原作よりも損害を抑えたままアムリッツァに撤退できたのが幸いして、原作よりは程度問題でしょうが兵力保持は出来たと思いますが、原作よりもマシなのはここまでですね。
まず一番最悪なのは、原作以上にラインハルトへの敗北感を植え付けられたことでしょうか。
原作では、ラインハルトが政治的には大失策というべき焦土作戦を強行してくれたお蔭で、まだ同盟軍を纏めることが出来ました。「あんな外道な事をする奴に同盟が占領されたらどうするんだ」と。
ですが、この作品のラインハルトは、徹頭徹尾責任感の強い指揮官として君臨し続けました。原作における政治的失点は、宮廷クーデターの可能性という大義名分と、他ならぬ同盟のオウンゴールによって全くと言っていいほど蒙っておりません。
こうなると、同盟軍の将兵にしてみれば、ロボスのあまりにも無責任な行動と否が応でも比較しますので「ロボスに比べればラインハルトの方がマシだ」と思ってしまうのも無理はない事でしょう。
もうここまで来ると、能力よりも信頼の問題となってきます。
帝国軍の将帥たちはこの後のリップシュタット戦役で経験を積んでいくでしょうから、能力の差も詰まっていきます。兵力で言えば、帝国軍が18個艦隊であるのに対し、同盟はアスターテの打撃も含めると5個艦隊弱。
量は圧倒的に向こうが上で、質の差も縮まる。何より総司令部に対する信頼度の違いから、士気の点では向こうが圧倒的に上。
よほどの荒療治がない限り、これもう詰み状態ですよ。
下手に第12艦隊に汚名を押し付けるなんてことしたら、それこそ同盟軍の士気は完全に修復不可能になるでしょうねえ。(悪いことにドーソンが司令長官になったらその可能性あるんですよねえ。下手に宇宙艦隊司令部の責任認めたら、今後の司令部の威信に傷がつくと思いそうで)
しかし・・・エリヤ君は、今回の戦いで少なくとも「運の良い」提督として評価されるかも。殿の中でも最後まで部隊を統率した点も、武勲としては十分なもの。
戦術能力については平凡だけれども、艦隊運用は水準以上だし、何より顔が広くて事務処理能力と交渉能力が抜群なので、司令官クラスからみれば、十分に欲しい人材なんですよね。トリューニヒトにとっても、エリヤ君が武勲を上げたことで、軍に良い手駒が出来た訳ですから。
しかし・・・ロボス派はこれで完全終了な訳ですが、シトレ派にとってもお通夜状態でしょうね。シトレの後釜というべきクブルスリーは更迭され、ウランフとボロディンは戦死。派閥重鎮のビュコックは退役寸前で、最大の期待の星であるヤンは、派閥の必要性を嫌っている欠点がある。
シトレ派の中核がボロボロな訳ですから、トリューニヒトは大喜びでしょう。
もっとも、軍政ではロックウェルやドーソン、エリヤがいますが、軍令面ではパエッタが大味噌をつけてしまって力のある実戦派提督がいないんですよねえ。
ルグランシェや未だ出ていないカールセン提督がトリューニヒト派になれば、少しは良くなるんでしょうが。
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