『銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)』への感想
投稿者:tukiyomi
[2014年 06月 09日 03時 13分]
▼一言
更新お疲れ様です。
ほんとやりきれないですね。
一番やりきれないのが、フォークがロボスの為に泥を被り続けているのに、ロボスはフォークを精神病扱いして、フォークの軍務復帰の道を完全に閉ざしているんですから。まあもうここまで横紙破りをしてしまった以上、フォークの居場所なんてどこにもないし、更に周囲の反感が物凄い事を考えると、精神病院に隔離することで、フォークの安全と口封じをするしか策はない訳ですが。
しかしこの流れについては、原作よりもはるかに説得力あるかと。
原作者はどうも「個人の力量」を過大評価しすぎているきらいがあって、優秀な個人だったら組織を思うように切り盛りすることが出来ると考えているようですが、いかに傑出した能力を持っていてもそれだけでは組織は動かないですからねえ。動くとしたら、よほどのワンマン社長で且つ組織が比較的小規模であった場合位ですから。
グリーンヒルの行動については、組織遊泳術としては完璧なんですよね。
ロボスの意向もくんでおきながら、同時に前線部隊には「ロボスの命令には逆らえないんだよ」とすることで、反感をロボスに向けるよう誘導していますし。
まあビュコック提督のように反骨精神旺盛な人物にはその手のごまかしは通用しない訳ですが、ただグリーンヒルが前線部隊の言うとおりに動いても、ロボスがそれを無視し続ければグリーンヒルは何の影響力も持たなくなるという状況にも陥る訳で痛し痒しです。まあエリヤもそこら辺は理解しているようですが。
ラインハルトの陣容の考察についても同様ですね。感服しました。
彼が捕虜交換で兵を獲得しようとしたのも、可能な限り訓練された子飼いの兵を獲得しようとしたことでしょうね。
未だ政治基盤がないに等しいラインハルトにしてみれば、頼れるのは自分が掌握している艦隊戦力だけであり、恐らくリップシュタット戦役直前の艦隊編制の混乱で相当の引き抜きがされている(ラインハルトの凄味を理解しているファーレンハイトですら引き抜かれているのですから、他の貴族士官達も似たようなものでしょう)こと考えれば、ブラウンシュバイク公爵が侮るのも無理はないわなと。
さて・・・いよいよ地獄の撤退戦スタート。
何とか第12艦隊もビュコックのように動ければいいのですが、相手は原作通りだとルッツ提督ですからねえ。双璧や猪と比べるとマシではありますが。
まあロボスが再度の一戦狙うのは確実でしょうけど、それでもイゼルローン回廊付近での決戦に抑えないとどうにもならんでしょうねえ。
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