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『銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)』への感想

投稿者:不来庵
[2014年 05月 11日 08時 58分]

▼良い点
トリューニヒトの親心。
それはまあ、政治家の言うことですから裏は何枚もあるでしょうが。

ただ、ここで第三六戦隊司令官を辞める選択はエリヤ君にはないでしょうし、兵士~尉官時代のエリヤ君なら即座に断っていたでしょう。それこそ第一の生でのエル・ファシルと同レベルのトラウマになりそうな逃走行為です。
が、色々背景を知ってしまう立場にまで登ってきたことで迷いが出てきたのでしょうね。
……どう返事をするやら。

▼悪い点
本来ならアルパネーゼ退役大将の初登場時に突っ込むべきだったんでしょうけれど……
これだけの大謀略をまとめ上げるようなチートなオリキャラを出した時点で二次創作としては結構ストーリー&設定的に破綻してませんか?

ベタですけれど、地球教を持ち出したほうがまだましだったと思います。
(アルパネーゼの役割を果たせそうな、原作上の登場人物が同盟側にいない(強いて言えばトリューニヒトくらい)、という点は考慮しますけれど……)

▼一言
今回の侵攻案、作戦畑中心に歩いてきた作戦屋から見た場合「オーソドックスな『謀略』」ではあっても「オーソドックスな『作戦』」ではありえないんです。今回の侵攻案は謀略案であって作戦案ではありません。
その辺の認識のずれが小生含め、コメント欄での批判的意見につながっているんじゃないかと。
(個人の役割をネガティブ(代替可能)にとらえている割に、結構陰謀史観入ってませんか?)

同盟が侵攻に使えるのは8個艦隊、防衛側の帝国は18個艦隊+貴族の私兵おそらく10万隻以上。
正統派(オーソドックス)の戦略家なら、史実大日本帝国(1941)のように戦略資源(原油)が枯渇する危機にさらされでもしない限り、軍事的には防衛戦略しか考えません。(まして、帝国同盟間には2つしか利用可能な侵攻ルートがなく、しかも両回廊とも確かOVAだと最も狭いポイントでは2個艦隊平行展開がきついほど狭隘な宙域です)
帝国宇宙艦隊を拘束できるくらいの反乱やクーデタをおこせるなら、まず内乱による疲弊を誘うことを優先するでしょう。
(一例を挙げれば、日露戦争だって、明石大佐の工作でロシア軍の欧州からの援軍が途絶したり、まして革命が発生してロマノフ王朝が倒れそうなほどロシア国内が荒れる前提でモスクワ侵攻、なんて戦争計画は立てていません。少しでも遅延すれば御の字、程度の想定です)

あとまあ、読者に説明不要で理解しうる案であるからこそオーソドックスといえるのでは? 現に、謀略案として見た場合に否定的な見解は誰も挙げていないと思いますが(侵攻作戦に役立つかどうかに疑念を挟む方はおられましたが)

あるいは感想欄でどうこういわずに作中で一言、アンドリュー君がエリヤ君相手に「これ以外に、現時点で兵力3倍の相手に勝てる方策があるっていうのか!」とでも叫んで泣き出せば、心情的には結構納得されたかもしれず……


▼返信
投稿者: 甘蜜柑
[2014年 05月 13日 (日) 09時 48分 26秒]

>本来ならアルパネーゼ退役大将の初登場時に突っ込むべきだったんでしょうけれど……
>これだけの大謀略をまとめ上げるようなチートなオリキャラを出した時点で二次創作としては結構ストーリー&設定的に破綻してませんか?
「トリューニヒトはなぜ地球教や憂国騎士団みたいな怪しい連中と組んだのか」という疑問に対する一つの答えがアルバネーゼです。イメージを大事にするパフォーマー的な政治家があえて怪しい連中と組む必然性はないです。強大な敵の存在があるのではないかと考えました。

>ベタですけれど、地球教を持ち出したほうがまだましだったと思います。
地球教はトリューニヒト側なので、ここでは使えません。

>(アルパネーゼの役割を果たせそうな、原作上の登場人物が同盟側にいない(強いて言えばトリューニヒトくらい)、という点は考慮しますけれど……)
トリューニヒトの敵が必要でした。

>今回の侵攻案、作戦畑中心に歩いてきた作戦屋から見た場合「オーソドックスな『謀略』」ではあっても「オーソドックスな『作戦』」ではありえないんです。今回の侵攻案は謀略案であって作戦案ではありません。 その辺の認識のずれが小生含め、コメント欄での批判的意見につながっているんじゃないかと。
作戦屋が担当する運用の関する部分は、フォークが作ったと本文中で明記していますよ。運用スケジュールが謀略に深く関わる以上、謀略への言及は必要になります。

>(個人の役割をネガティブ(代替可能)にとらえている割に、結構陰謀史観入ってませんか?)
情報工作は政治、軍事、経済のあらゆる活動においては、通常活動の一部として分かちがたく存在しているものです。敵も味方も日常的に工作をしています。極小数の陰謀家が世界を手玉に取っている陰謀史観とは異なりますね。


>同盟が侵攻に使えるのは8個艦隊、防衛側の帝国は18個艦隊+貴族の私兵おそらく10万隻以上。
帝国の軍事力分析は、二、三話後で行う予定でした。帝国正規艦隊や貴族の私兵艦隊の実質的な戦力、帝国軍の指揮系統。こういったものの質を度外視した上での単純な数量比較には意味はないです。

>正統派(オーソドックス)の戦略家なら、史実大日本帝国(1941)のように戦略資源(原油)が枯渇する危機にさらされでもしない限り、軍事的には防衛戦略しか考えません。
防衛戦略というのはパワーバランスを維持したい側に取っての正統であって、覆したい側にとってはその限りではありません。相手の隙を虎視眈々と伺い、工作を仕掛けて隙ができるようにする。そして、隙を見つけたら攻勢に出るというのが現状変更を求める側の戦略です。同盟は覆したい側です。

自由惑星同盟が軍事費に圧迫されて財政危機に晒されているという描写は、作中で何度も行ってきました。国内の不安定な情勢はエル・ファシル動乱から、さんざん描写してきたはずです。

>あとまあ、読者に説明不要で理解しうる案であるからこそオーソドックスといえるのでは? 現に、謀略案として見た場合に否定的な見解は誰も挙げていないと思いますが(侵攻作戦に役立つかどうかに疑念を挟む方はおられましたが)
これから何話かかけて、いろんな立場の人間からの分析をさせる予定でしたが、心が折れてしまいました。


>あるいは感想欄でどうこういわずに作中で一言、アンドリュー君がエリヤ君相手に「これ以外に、現時点で兵力3倍の相手に勝てる方策があるっていうのか!」とでも叫んで泣き出せば、心情的には結構納得されたかもしれず……

作中で何話もかけて分析させるつもりでしたが、その前に読者の皆さんにもう少し待ってほしいというつもりで感想欄に長々と返答いたしました。

結局のところ、長い目で見ていただきたかったといういうお願いも、読者の皆さんにとっては見苦しいものであったようですね。

感想欄を読むたびに、頭の中で構想していたシーンを思い浮かべて、「まあ、先の展開を見ていてください。失望させない答えを用意しますよ」と考えながら、返信をしていました。しかしながら、そういう気持ち自体が見苦しかったようです。結局のところ、後の展開で用意している答えを出すまで待っていただけるほどの信用をいただけなかったということなのでしょう。

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