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『銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)』への感想

投稿者:tukiyomi
[2014年 05月 09日 01時 55分]

▼一言
更新お疲れ様です。

帝国領侵攻作戦ですが、よく読むと投機的な部分が強すぎますね。
辺境星域の独立により同盟の補給路が維持されるはともかくとして、勢力を完全に失ったカストロプ一派をあてにする辺り、かなり希望的観測としか。
しかもフォークは軍のルール踏み外す気満々なので、作戦が発動された瞬間、決定的な勝利を得るまで作戦中止なんて思いもよらない状況に追い込まれます。

本来だったら、エリヤは殴ってでもとめないといけない訳なんですけど、それが出来ないのは、「家族」というものの絆の強さに郷愁を覚えているからなんですよねえ。もうエリヤに出来る事って、これから心身ともにボロボロになるフォークの話し相手として、少しでも彼の負担を減らす位しかなさそうです。

ダーシャについては、まあ彼女の性格から考えて浮気という線はなさそうですが、とにかくタイミングが悪すぎたとしか。
誤解とければいいんですけどね。

ヤンの政治能力ですけど、これ「同盟世論に対するヤンの個人的名声による影響力」と読み替えた方がしっくりくるかと。
イゼルローンを落とし、アムリッツアでも最も被害が少なく、クーデター軍も鎧袖一触で倒した同盟最高の名将。
このネームバリューに正面から立ち向かえられるだけの人材は同盟にはいないでしょう。
故に、トリューニヒトが査問委員会を招集して、ヤンを審問するというのは、政治的にかなりの博打であったと考えられます。
そして彼はこの博打に敗北し、自派の国防委員長を更迭せざるをえなくなるという政治的大敗北を喫するわけですが、しかしこれだけの打撃を受けても尚、軍に対するトリューニヒト派の影響力は圧倒的でした。
そう考えると、本来なら彼の政治的失点を利用して、旧シトレ派の統合と発展をできるお膳立てはあったにもかかわらず、成し得るどころか徐々にトリューニヒトに切り崩されていっているヤンを、政治能力が高いというのは難しいかと。
シトレの権威が強かった時代は、シトレの影響力によつてヤンも色々できましたけど、シトレ失脚後、トリューニヒトに対して終始受け身に立たざるを得なかったところが、逆説的にシトレの政治手腕の高さを意味していると考えます。


▼返信
投稿者: 甘蜜柑
[2014年 05月 09日 (日) 02時 48分 49秒]

失脚しかけた人間に反乱を煽動するって、定番の工作ですよ。

エリヤは殴っても止まらないことに気づいてるんですよ。フォーク一人を止めても、裏にいる大物二人を止められないことにも。

勘違いなさっているようですが、ヤンはトリューニヒトに対して、政治的に圧倒的な優位を終始保っていますよ。切り崩されてる印象は殆ど無いですね。むしろ、プチ独裁とも言うべき権力を手中にした割には、手出しできていない印象です。ヤンに名声があっても、政治力がなければ中核メンバーを引きぬかれ、自分自身も更迭されてましたよ。個人的名声で世論の圧倒的支持を得た名将が、キャリアの頂点で失脚する例なんていくらでもありました。あれをヤンの政治的劣勢と解釈できるのが不思議です。「ヤンは政治ができない」という先入観にとらわれ過ぎではないでしょうか。

ヤンは前線の軍閥であって、軍中央でトリューニヒト派と政争をする立場ではありません。軍閥の長として示した絶大な政治力から推し量るに、ヤンが軍中央に乗り込んだら、かなり戦えたんじゃないかと思っています。

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