『銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)』への感想
投稿者:tukiyomi
[2014年 03月 29日 02時 34分]
▼一言
更新お疲れ様です。
これまで周囲に翻弄されることの多かったエリヤが、地に足をつけて上へと歩むことを決意することに。士官への任官を希望した時以来ですかね。こういう覚悟を示したのは。
今回はトリューニヒトの長所と短所が出ることに。
理想をかなえるためには「信頼の強さと耳を傾ける者の数が力になる」という考えはまさしくその通りなんですけれども、「攻撃的なパフォーマンスで人目を引き、冗談と本音をちゃんぽんにした軽妙な会話で親しみを覚えさせる」行為は、支持者を増やすと共に強烈なアンチまで生み出す要因にもなります。
ここら辺は「大衆」というものをよく理解しているトリューニヒトと、大衆の存在を無意識に排除し「理性的な市民」を絶対視しているヤンとの認識の違いと言える訳ですが、ヤンが尊敬されながらも、遂にその帝国への敵対行動が限定的にとどまったのは、彼の政治家としての限界を示しているように思えます。
しかしここまでくると、エリヤは誰も「作られた英雄」なんて思われんでしょうねえ。少なくとも後方担当の士官としては一流の能力持っていますし。
もっとも、トリューニヒトとの関係を深めていますので、あれで結構人の好き嫌いの激しいヤンから色眼鏡で見られる可能性もある訳ですが。(ヤンよりもアッテンボローの方が無用なケンカ売りそうですけど。逆にムライとは良好な関係築けそうですが)
投稿者:
甘蜜柑
[2014年 03月 29日 (日) 13時 43分 01秒]
4=2基地での経験がよほどこたえたのでしょう。
敵を作らなければ味方を作ることもできません。多くの人に存在を知られてなお、憎まれずにいるのは不可能だからです。トリューニヒトは多くの人に存在を知られて、多くの味方を作ることを選んだのでしょう。嫌われたくなくて目立つのを避けるようでは政治家には向いていないですね。政治家というのは何をやっても必ず誰かを不幸にして、憎しみを買う職業ですから。
ヤンは軍人であって政治家ではありません。原作では彼に政治家としての資質を問う記述が多いですが、フェアではないと私は思いますね。政治家としての資質を問われるのは彼を使う側の人々でしょう。政治家が責任を果たさなかった結果までヤンに背負わせるのは酷に過ぎると思います。
エリヤは現時点では単なる事務屋です。事務屋として優れていても上には行けないでしょうね。庶務課長として優秀という程度ですから。部長や役員になるにはマネジメント能力が必要になります。
ヤンとエリヤではたぶん思想的に合わないんじゃないでしょうか。
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