「銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)」の感想

不来庵
不来庵
 
良い点
実体験で民主共和制(ただし原作者の定義による)の限界を知るエリヤ君と、思考の柔軟性という点では常人を遥かに超越する不敗のペテン師、異色の2人だけが元門閥貴族の意見を聞く度量を持っていた……というのは何とも興味深い符合ですな。
 
コメント
同盟軍の活動、ますますお米の国じみてきているなぁ……という印象(しかもお米の国ほど経済も軍事も圧倒的優勢にない……どころか、相対的に劣位)。
イゼルローン要塞完成後、これまでほぼ専守防衛を強いられていただけに、コーンパイプの元帥率いるGHQに巣食っていたニューディーラー残党も真っ青な空想主義者の戯言がそのまま通ってしまうあたり、同盟に占領行政についてのノウハウが完全に欠落している結果なんでしょうねぇ……

原作の展開がナポレオンのモスクワ侵攻だとすると、本作のそれは現在のところベトナム戦争かパレスチナ紛争か……